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ただの休職期間で終わらせない。スキルアップを目指すための過ごし方

うつ病や適応障害による休職期間の過ごし方は人それぞれですが、少しずつ気力が出てきた時期であれば、これまでできなかったことをできるようになって復職したい、と考えるようになっても不思議はありません。

復職支援プログラム(リワークプログラム)など受講されているとなおさらでしょう。

同じプログラムを学ぶ仲間ができている課題を、自分ができないのは悔しいものです。しかし、このような“少し先輩”の仲間がいるからこそ、自分もスキルアップできるのも事実なのです。

今回は休職期間にスキルアップするための過ごし方を紹介しようと思います。

  • リワーク機関ってどんなところ? 何をしているの?

    ただの休職期間で終わらせない。スキルアップを目指すための過ごし方
    ※イメージ写真です

    リワークについてはこれまでにも紹介してきましたが、そこでおこなわれる具体的なプログラムなどはお伝えしていなかったかもしれません。

    それぞれの機関によって詳細は異なっても、大きな柱は変わりません。

    一つ目は、うつ病などで低下している判断力・集中力を向上させるための認知能力の回復プログラム。

    二つ目は、ものごとに対する考え方や、思考のパターンを知り、ストレスに対処する方法を身につける認知行動療法。

    三つ目は、対人関係をスムーズにするための、コミュニケーショントレーニング。

    上記が挙げられると思います。どれも、うつ病や適応障害から回復し、病気の再発・再休職を防ぐために必要なトレーニングです。

    認知行動療法のなかには、アンガーマネジメントといった感情をコントロールするスキルも含まれますし、コミュニケーションスキルであるアサーションが組み込まれている場合もあります。

    対人関係をスムーズにするためにグループワークや模擬業務でコミュニケーションスキルを養います。模擬業務は職場の業務を模したさまざまな活動ですが、自分ひとりだけで完結できるものだけではありません。チームワークが要求されるものもあるので、コミュニケーションスキルは不可欠です。

    このように見ていくと、リワーク機関で身につけられるスキルは多種多様に渡るといえるでしょう。休職期間を療養だけでなく、スキルアップにつなげたい場合はこのような機関を利用するのもよいかもしれません。

    メンタルヘルス不調者が休職に至った理由は人それぞれです。本人なりに「これが問題」と考えていることはあるはずですが、「問題」を解決するために、休職要因を振り返り、復職・再就職に向けて、対応策を練っておく必要があります。そのためにも、さまざまなスキルアップが必要になることがあります。

  • 自分ひとりじゃうまくいかない……。そういうときは仲間から学ぼう

    休職期間中にスキルアップが必要、と簡単に言いましたが、「それができるなら苦労はしない」と思う人は多いはずです。実際、人が自分ひとりで身につけられるスキルというのは限られています。

    対人関係や社交性、他のいろいろな点においてもです。

    ここで、子ども時代を思い出してみましょう。体育の授業で逆上がりや縄跳びで苦労したことはありませんでしたか?

    逆上がりができなくて苦労したとき、運動の得意な子にコツを教えてもらったり、そのような友人の真似をして、できるようになった記憶はないでしょうか。

    もしかしたら、友人ではなく先生の工夫やアドバイスのおかげで、逆上がりができるようになったかもしれません。

    補助板を使い、先生のサポートを受けることで、初めての逆上がりを成功させ、コツをつかんだという人もいるかと思います。

    このときその人は「逆上がり」という運動のスキルを一つ身につけたのです。どんなプロセスであれ、スキルアップしたという事実は変わりません。

    そしてこのプロセスを見たとき、気づくことはないでしょうか。

    自分ひとりで努力して実現できることもスキルアップですが、他人の手を借り、熟練者のスキルを真似て達成することもスキルアップです。当たり前のように聞こえますが、人はこのことを忘れがちです。

    すべて自分ひとりで学びとり、達成しないといけない、と思い込んでしまうところがあります。

    心理学者のヴィゴツキー(※1)は子どもの発達において、このようなことを述べています。

    子どもにはすでに習得して、自動的にできる部分があり、ここまでのラインを「ひとりで達成できるレベル」と考えます。

    この「ひとりで達成できるレベル」があるのと同時に「他者のサポートや道具の介助によって達成できる、より高いレベル」が存在します。

    後者の「より高いレベル」と「ひとりで達成できるレベル」の間が、子どもの伸びしろに当たる部分です。他者や道具があれば達成できるなら、コツさえつかめばひとりでできるようになるでしょう。

    今日はひとりでできなくても、明日にはひとりでできるようになるかもしれない可能性を秘めているということになります。

    これがヴィゴツキーの理論ですが、大人にも同じことが言えると考えられます。

    自分ひとりで頑張って達成できるようになったスキルは、今後も無理なく実践できるものになるはずです。では、大人はそれ以上成長しないのかと言えば、それは間違いです。

    実際、私たちはいろいろな場面で他人の手を借り、熟練者のスキルを真似ることで、「ひとりでできる」以上の成果を上げています。

    たとえば、営業スキルに長けた先輩とペアを組むことで、コミュニケーションスキルを盗めます。そうすると、先輩が隣にいなくても、これまで以上の接客ができるようになります。

    自分ひとりで頑張っていた時代より、ベースとなるスキルが底上げされたわけです。

    このような経験は、日常的に見られることではないでしょうか。だからこそ、熟練者やスキルの高い上司などをメンターとしてつける制度をとり入れる事業所も増えているように思います。

    ひとりで学ぶのもよいが、コミュニティで学んだほうがよい。

    自分ひとりで解決できない場合は、仲間から学ぼう。

    心理学の理論や、何よりあなたの経験がこのようなアドバイスを与えてくれているのです。

  • うつ病の休職期間にスキルアップ。できる仲間からスキルを学ぼう

    うつ病の休職期間にスキルアップ。できる仲間からスキルを学ぼう
    ※イメージ写真です

    リワーク機関を利用することで、休職期間をスキルアップにあてることができるというのは初めに伝えたとおりです。プログラムの受講はもちろんですが、もうひとつ大きなメリットがあります。

    それは、復職や再休職を目指す仲間の存在であり、実際に復職した先輩の経験です。

    前の章で伝えたように、人がひとりで学習するには限界がありますが、リワーク機関を利用すれば、同じ目標を目指す休職者がおり、先輩休職者もいます。これはスキルアップにとって大きなメリットです。

    たとえば、人に相談するのが苦手で、つい自分で抱え込んでしまうタイプ。

    このような休職者は少なくありません。診察やカウンセリングでも自分の困り感をうまく話すことができず、消化不良になりがちです。

    もっとうまく話せたらいいのに、と自己嫌悪におちいるか、うまく話せない自分に失望してしまい、相談自体を諦めるようになるかもしれません。

    ですが、メンタルヘルス不調において、適切な相談ができるというのは必要なスキルです。

    治療を継続する上で主治医とコミュニケーションがとれるというのはとても大切ですし、治療のためには困りごとをしっかり相談できたほうがよいです。

    復職した後のことも考えてみてください。仕事でつまずいたとき、ひとりでは処理できない案件を引き受けたとき、抱え込んでしまっては、大きなストレスにならないでしょうか。

    病気を再発しないためには、上司や同僚にしっかり相談できる、というスキルが必要になります。

    このようにイメージを膨らませると、この場合“コミュニケーションのスキルアップ”が必要になるとわかってきます。

    コミュニケーションスキルについて、自分ひとりでできることは、すでに努力をしているでしょう。でも、物足りないと感じる。

    このように、自分の伸びしろを活かしたいと思ったとき、どうするのがよいでしょうか。

    答えはすでに出ているはずです。

    専門の支援員のサポートを得て、トレーニングを積むのも効果的です。

    同じプログラムを受けている仲間からスキルを盗んだり、どのようにしてできるようになったのか、学ぶのもよいです。

    先輩休職者の話を聞くだけでも、これまでの考え方に新しいものが加わるかもしれませんし、実際に、うまくできた人の真似をしてみるだけで、あなた自身も変化するでしょう。

    リワーク機関は逆上がりの補助板のようなもので、試行錯誤を繰り返すことでレベルアップにつながります。

    リワーク機関を利用するメリットは、効果のあるプログラム受講が一番ですが、それだけではない、自分自身のまだ眠っている可能性を活かすということもあります。

    休職期間を休養するだけでなく、自分のスキルアップのための時間と考えると、いろいろとできることはあるように思えます。

公開日 2020年12月22日

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