認知行動療法のカウンセリング内容が気になる。値段の相場やかかる時間は?

認知行動療法のカウンセリングでは、どのようなことをするのでしょうか? 
認知行動療法では、自分の思考の癖や行動のパターンを認識する必要があります。しかし、これらを自分だけで発見することは難しい場合もあるのです。なぜなら、これまでの人生で形成された思考の癖は既に”当たり前”になっているから。無意識のうちに当たり前と考えていることに気づくのは簡単なことではありません。
そんなときに活用したいのが、一緒に課題に向き合ってくれるカウンセリングですよね。しかし料金や、どのくらいの時間がかかるのか気になる方も多いと思います。今回は認知行動療法のカウンセリングに焦点を当ててみたいと思います。

  • 認知行動療法のカウンセリングはどのようなことをする?

    認知行動療法のカウンセリングはどのようなことをする?

    カウンセリングはいくつかの段階を積み上げるようにおこなわれます。

    大まかには、疾患・治療の理解→目標設定→自動思考の気づき・検討→実験行動→心のクセの気づき→治療の終了、といった流れです。

    基本的にはこの流れに沿いながら、臨機応変に内容は変化します。 毎回のカウンセリング時間中に、家でやるホームワークも決めます。このホームワークは本人と治療担当者が相談して決めるもので、治療担当者が一方的に決めて押し付けることはありません。ホームワークは、次回のカウンセリングまでに実行し、振り返りもします。    

     

    <カウンセリングの全体像>

    まずは疾患や認知行動療法についての理解をしてから始めます。治療担当者とのコミュニケーションをとり、信頼関係を築きながら治療終結までの目標や現在の困りごとについて共有できれば準備完了です。 困りごとのなかで”自分でコントロールできそうな問題”や”解決に向けて具体的な行動ができそうな問題”を一緒に選びます。

    「不安を二度と感じないようにしたい」など実現が難しそうな問題や「他者の自分への関わり方を軟化させたい」など自分ではなく他者を変化させるような目標は設定できません。 目標を決めたらいよいよ、認知や心のクセに気づき、検討し、変化させていく段階です。実際に行動して、上手くいったと思う行動は定着させていきます。 ここでいう”自動思考”と”心のクセ”は似ていますが、別のものです。”自動思考”は単一の状況における無意識の思考・行動を指し、”心のクセ”はもっと大きな視点での自分の考え方を指すイメージです。いうなれば、”心のクセ”は”信念”に近いかもしれません。そのため、まずは自動思考の検討から始め、慣れてきたら”心のクセ”についても考えていく流れが一般的です。

    そのあと再発防止のためのカウンセリングをおこない、治療が終結します。 ここまで、カウンセリング10~20回を目安におこなっていきます。治療に、かなりの時間をかけることがわかるでしょう。再発防止の効果を得るためにも、気長に、そして根気強く治療に取組む姿勢が大切です。
    休職は人生を豊かにする可能性を秘めている』でもお伝えしましたが、じっくり治療にあたる時間をとれることを前向きにとらえましょう。

  • カウンセリングにかかる料金と時間の相場

    カウンセリングにかかる料金と時間の相場

    1回あたりのカウンセリング料は5,000~15,000円(地域などにもよります)、カウンセリング回数は10~20回程です。1回のカウンセリングは30分以上かけておこないます。 カウンセリングにかかる料金は自費である場合が多いです。

    熟練した医師などのもとで認知行動療法を受ける場合、保険適用となることもありますが、提供している医療機関はとても少ないのが現状です。 カウンセリング前に、少し早めにいって現在の精神状態を自己評価してからカウンセリングに入るところもあります。 本人と治療担当者、1対1のカウンセリングであれば1回30分~1時間程度、週に1~2回に設定することが多いようです。集団認知行動療法では1回あたり数時間の時間を設け、全体の回数を少なく設定している施設もあります。

  • まとめ

    認知行動療法のカウンセリングではどのような流れで治療を進めていくのかを紹介しました。大まかな流れは想像できたでしょうか?
    個人に合わせておこなうのが認知行動療法の特徴なので、必ずしも紹介した通りの流れとなるわけではありませんが「何をするかわからないから不安」という方の参考になれば幸いです。

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
監修:藤澤 佳澄
監修:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。