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傷病給付金は退職後も受け取れます。条件や注意点を解説します

2021/11/2 最終更新

休職する方だけでなく、退職する方にも活用して欲しいのが傷病手当金の制度です。実は、健康保険では医療サービスの現物給付以外にも、現金が給付される場合があります。傷病手当金もそのうちのひとつです。

労災保険で補償されない、要するに仕事以外のことが原因の病気(もしくはケガ)で働けなくなったときの生活を補償することが目的となっている制度です。 この制度を利用中、退職することになったときは続けて受給することはできるのでしょうか?

  • 傷病手当金は、退職しても条件を満たせば受け取れる

    傷病給付金は退職後も受け取れます。条件や注意点を解説します

    休職・退職など働けないことで、収入がなくなると困ってしまいますよね。それが不安の種となってしまうかもしれません。

    せっかく休職しても大きなストレスを抱えてしまったり、充分に回復する前に転職活動して働き始めてしまったりすると本末転倒です。

     

    傷病手当金は、条件を満たせば退職後も受け取ることができます。休職中に受給していたか否かは関係ありません。 では、条件とはどのようなものなのでしょうか?

     

    退職日までに1年以上、継続して健康保険(職域保険)に入っていること

    退職のとき(健康保険の資格喪失時)に傷病手当金を受けているか、または、受ける条件を満たしていること

    退職日に出勤していないこと

     

    それぞれの条件について詳しく説明していきます。

  • 条件① 退職日までに1年以上、継続して健康保険に入っていること

    退職日までに1年以上、継続して健康保険に入っていること

    退職日までに継続で1年以上入っていることが条件となっています。任意継続の期間はカウントされないことに注意が必要です。

    今の職場で1年以上働いているのなら問題ありません。しかし、1年未満の場合は条件を満たせず、給付を受け取れません。ただし今の勤め先の継続が1年未満でも、前の職場から”1日の空白もなく”保険を切り替えていた場合には通算できます。

    また、ここでいう”健康保険”は職域保険、いわゆる被用者保険を指します。地域保健である国民健康保険には傷病手当金の制度はありません。

  • 条件② 退職時に傷病手当金を受ける条件を満たしていること

    今回は退職時に焦点を当てて紹介していますが、傷病手当金を受けるためには、それ自体にも条件があります。

     

    1.疾病又は負傷のため療養中であること

    2.労務に服することができないこと

    3.労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過していること(3日続けて休業した場合に第4日目から支給)

    4.報酬が受けられないこと(報酬を受けていても傷病手当金の額より少ないときはその差額が支給)

     

    休職中に傷病手当金をもらっていた方は、既にこの4つを満たしています。ただし、休職に至った病気・ケガと同じ理由でなければ継続給付を受けられません。また、休職期間中に既に1年6ヵ月給付を受けていると、それ以上はもらえません。

     

    <継続給付の注意>

    継続給付で注意が必要なのは、退職に合わせて引っ越し・受診医療機関を変更する場合です。

    傷病手当金を受けるためには、就労不可であることを医師に証明してもらう必要があります。 その証明に1日でも空白が発生してしまうと、それ以降の給付を受けられなくなってしまいます。病院側も診察がない初診日以前の就労不可は証明できないため、空白をつくらないよう日程を調整して受診しましょう。

    退職後初めての申請をする場合も、すべての条件をきちんと満たせば傷病手当金を受け取ることが可能です。

     

    <締め切りはいつ?>

    退職後の申請で、締め切りについて気になる方もいるでしょう。こちらは、特に気にする必要はないかと思います。強いていえば、健康保険法上で「療養のために働けなくなった翌日から2年で時効」と定められています。

    生活の補償として、早く受給したい方が多いと思います。時効を意識するよりは、書類が準備でき次第申請することをおススメします。

  • 条件③ 退職日に出勤しないこと

    退職日に出勤しないこと

    退職日に出勤してしまうと、それだけで傷病手当金受給の条件を満たせなくなってしまいます。

    退職後も傷病手当金を受給する予定ならば退職日の出勤はしないでください。

     

    事務手続きや会社にある私物整理のため、出社することは問題ありません。重要なのは”出勤扱い”にしないこと。そして、出社したとしても仕事はしないこと。

    引き継ぎなどがある場合は、退職日には終了する日程で早めに済ませておきましょう。 退職日に”出勤”さえしなければ、公休・有給・欠勤どれでも問題ありません。

  • まとめ

    休職・退職の判断をするときには、お金の問題も頭をよぎるでしょう。受給するために条件があるとはいえ、傷病手当金は病気で働けなくなった方には心強い制度です。

    退職後も条件を満たせば受給することができます。 経済的不安で休職・退職をためらっている方は、制度を知っているかどうかで判断が変わってくることもあるかもしれません。ときには条件を満たせるよう、多少の調整をした方が良い場合もあるでしょう。

    金銭的不安を療養中のストレスとしないためにも、是非知っておいてくださいね。

     

     

    ※コラム中の画像は全てイメージです

執筆:コラム編集部
執筆:コラム編集部
医療・福祉分野で主に障害のある方の支援を10年以上従事。これまでの経験とノウハウを活かし、さまざまな事情から不調になり休職したり、働けなくなったりした方向けに、復職や就職などの“働く”をテーマに少しでも役立つ情報を執筆。
監修:藤澤 佳澄
監修:藤澤 佳澄
大阪大学 大学院人間科学研究科 博士後期課程単位取得退学。大阪大学非常勤講師をはじめ、各種教育機関で教鞭をとる。 メンタルクリニックにて十年弱心理職として従事。「体験型ワークで学ぶ教育相談」(大阪大学出版会)一部執筆。現在は特定非営利活動法人Rodinaの研究所にて、リワークを広く知ってもらうための研究や活動をおこなう。